退職勧奨はどの範囲で許されますか
相談内容
従業員Aは、いわゆる「カラ出張」を繰り返し、会社から現金20万円を不正に受け取ったことが社内調査により発覚しました。会社は懲戒解雇に相当する行為であるという認識でしたが従業員Aの将来も考え、自己都合退職をするように勧告し従業員Aは退職願を提出して退職しました。
後日、元従業員Aが退職願の提出は強制されたものだと主張し、労働契約上の権利を有することの確認及び賃金の支払いを求めてきました。どのように対応すればよいでしょうか。
回答
退職勧奨は、労働者の意思を尊重して自由な環境の中で行われたものであれば許されます。
今回のケースでは現金20万円を不正受給していますので明らかに懲戒解雇理由に該当します。その上で温情的に退職願を提出するよう勧告していますので公序良俗に反しているとは言えず、退職勧奨は有効と考えられます。
なお、会議室等に閉じ込めて、その場で退職願いを書かせるようなことをした場合は、強要されたと判断される場合もありますので、退職願を書いて自己都合退職にするか、懲戒解雇処分とするか従業員本人に選択させる方法も有効です。