最低賃金の遡及
Q:賃金を計算してみた結果、最低賃金を下回っていました。どうすべきですか?
【事例】当社の賃金をチェックしてみたところ、どうやら最低賃金を下回っているようです。来月からは最低賃金違反とならないように支給しようと思っています。問題はありますか?
A:問題ありです。賃金の時効は2年間なので、適用年月日(または2年前)に遡って差額を支給する必要があります。
〜最低賃金制度とは〜
最低賃金法に基づき、国が賃金の最低限度を定め、使用者は、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならないとする制度です。
〜最低賃金の効力について〜
最低賃金法第4条において、「使用者は最低賃金の適用を受ける労働者に対し、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならない」と定められています。また、「最低賃金の適用を受ける労働者と使用者との間の労働契約で最低賃金に達しない賃金を定めるものは、その部分については無効」とされており、「無効となった部分は、最低賃金と同様の定めをしたものとみなす」とされています。
〜最低賃金を下回っていた場合について〜
最低賃金を下回っていた場合は、最低賃金の適用年月日に遡ってその差額を支払わなければなりません。たとえ、使用者と労働者が賃金額について同意していた場合であっても同様です。
〜最低賃金法違反について〜
最低賃金法により、地域別最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には罰則(50万円以下の罰金)が定められています。また、特定(産業別)最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には、労働基準法により罰則(30万円以下の罰金)が定められています。いずれにしても罰金刑が科されていますので注意が必要です。